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施策⑤ 防災強化・土地活用

耕作放棄地・点在空き家の流動化を通じた防災強化と、道路・鉄道網の高次元化

(地域災害対策・危機管理につながる空き家・耕作放棄地解消)

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~いまの県内災害対策・県内遊休地について感じていること~
 4年前の西日本豪雨災害の爪痕は今も残っており、県内各地に被災したままの空き家が点在し、今後の防災展開に当たって障害となっているケースがあります。一方、主に中山間地域にはなりますが耕作放棄地が増加傾向にあり、高齢からくる担い手の欠如、郊外マンション用地打診の一巡など様々な要因から農地があまっていく傾向となっています。これらが点在することでまとまった施策が打ち出しにくいのも実態で、集約化と有効活用が早急に望まれると考えます。
 また、農地中間管理事業としての広島県の農地貸出目標比実績は直近で約4割にとどまっており、大規模借り手が減少し果樹野菜などの狭い農地の借り手ニーズが目立ってきたことで、こうした層への訴求が必要となっています(広島県森林整備農業振興財団・21年度目標1400ha)。持主が不明の農地も多く、広島県でも農地バンクへの登録を強力に呼びかけ中です。

~その要因・課題について思うこと~
 西日本豪雨の後に県議会選挙を一度くぐっているのであり、その出馬に当たって災害対策を掲げて当選した議員の活動実績は当然に追及すべきと考えます。例えば異常気象・風水害に対し、貯水池確保・出動態勢整備・企業協力リストアップ・キーマン即時集合態勢・配布物資確保態勢・情報統制など、4年前の選挙公約ができているかどうかその検証と、できていないのであれば不足分の善後策を検討しているかなどを一緒に考えていけばよいのであって、あえて新たに何か政策を打ち出す必要はないと考えます(防災策のスルーではなく、一度選挙で県民の審判を仰いだその政策の検証ならびに実施強化を行うということ)。
 一方で、災害対策上の阻害要因となる空き家や耕作放棄地は、行政による収用を最終目標に据えるとしても、住民の理解を得るには相当の道のりを要します。むしろ初期費用を抑える形での双方有効活用であれば当事者理解も進み、実現への期間短縮が期待できると考えます。

~解決策(政策)について
①空き家と耕作放棄地の流動化・等価交換の実施による双方集約化
 注力すべきは取り残された点在空き家の有効活用・防災上の撤去であり、全国的に空き家対策が進まないのは、所有者が入り組んでいたり不明であることに加え、撤去費用がキャッシュフローで出ていくことに当事者の抵抗が強いのではないかとの仮説から、空き家と耕作放棄地双方の集約化を企図した等価交換の仕組みを応用したいと考えます。
 放置していくことで年々その価値は減耗していくのであり、個々の空き家の早い時期での想定価格を設定し、そこから撤去費用を控除した価額を適正価格とみなすわけです。それを耕作放棄地に移転したとして、双方の所有者が納得すればキャッシュフロー流出なしでの交換が実現します(売却者は固定資産税負担から解放)。
 この積み重ねにより空き家の早期処分・耕作放棄地の集約化が実現し、防災上は点在より効果的であるし集約化の相乗効果によりエリア全体の価値は向上すると考えます。家庭菜園としての区分け販売を通じ、近隣住民からの買取機運も高まる可能性があります。
 
②担い手の確保と非行立直りへの手段化ならびに老壮年の働き甲斐確保
 その耕作放棄地ですが、きちんとした農地として整備するための人材確保を、前述の非行少年立直りの対象者の労働に期待します。指南役として農業アドバイザーの来訪支援や近隣の老壮年の知見活用に期待しつつ、インフラの素地は整うわけで、あとは若年労働力のやりがいとの相乗効果を狙うこととなります。
 
③金銭的価値見積もりのスキーム確立による投資対象としての魅力発信
 こうした労働への参加を持続することでのポイント制(労働時間集計により自分の土地割当分獲得)を創設してもよいし、新たな品種にトライしたい方がいれば電子マネー方式で実際に試行作付けしてもよいし(発案者のリスク・リターン)、全体の土地面積がまとまった時点で肥沃な土地になっているわけで農業法人への売却益計上も可能でしょう。それを見越した将来実現見込利益を現時点で確定(割引現在価値)させてのアルバイト代前払い換算も理論上可能でしょう。

~まとめ~
 つまり、生き方に迷う若者の情熱を振り向ける対象について農業というものを前述しましたが、そのためのインフラ作りと地域防災の双方解決策として、空き家・耕作放棄地の解消をとらえるわけです。地権者との折衝を繰り返してもそのメリットが目にみえる形でないと話がなかなか前には進みません。せっかく遊ばせている土地があるのですからその価値が減耗していく前にできるだけ支出コストを抑えたモデルを早急に確立したいということです。等価交換を十分に活用し双方の有効活用を早期に推し進めることで規模の利益から価値も増大することでしょう。これでインフラと労働力が揃うわけで、まずはスマート農業がスタートできます。
 また地域防災との関連性ですが、河川を広げようにもあの突き当りの空き家がネックになっている、といった事例は想定に難くないわけで、そこをスムーズに進めるためにもこのような政策が有用と考えます。つまり対象の地権者には、交換によりコストが抑えられる事に加え、移転に応じることで地域の防災や食糧危機回避に役立っているという意識が芽生えてくるのです。

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